フィンランドではどこでも木の実取り放題!?
フィンランドでは、他人の土地に入り、木の実などを摘んだりと、その土地にある自然の恩恵を受ける事ができる「権利」があるってご存知でしょうか?この権利の事を、「自然享受権」と言い、フィンランド語ではjokamiehenoikeus (ヨカミエヘンオイケウス)と言います。
「自然はみんなのもの」
これは古くからある北欧独特の慣習であり、特にフィンランドは他の北欧諸国に比べてこの慣習がより濃く残っています。フィンランドに住んでいる人も、観光で訪れた人も、土地の所有権に関係なく、ベリーを摘んだり、湖で魚釣りをしたり、テントを張って野宿したりできる権利が、法的に守られているんです。
法律や行政という概念が生まれる前から、フィンランドの人々はその広大な自然を自由に移動し、そこに生えている植物や野菜を頂き、狩猟をして生き伸びてきました。比較的、国面積に対して人口も少なくまばらであり、主要な土地所有者がいなかった事、又、耕作地が少なく水域が大きい事などが、自然享受権の基礎を築いてきました。
「他人の土地でも自然はみんなの物」という考え方は、日本ではちょっと考えられませんよね。よくよく考えると、理にかなってるし、確かにそうあるべきだよねってなるんですが、、
日本の土地には誰かしらに所有権があって、その土地の主に無断で敷地の中に入ったりする事は、法的に禁じられています。アメリカだと銃で撃たれる可能性も十分あるでしょう。
それに比べてフィンランドの自然享受権は、全く違った自然に対する考え方で、とっても自由さと寛大さ、そして自然への尊重が感じられますよね。
ただし!いくら自然享受権があると言っても、常識の範囲内で行動する事が求められ、一定の制限は各土地に存在します。
守られている「権利」とは?
- 森や湖など自然の中で、ウォーキングやスキー、サイクリングをする
- 馬にのる
- 民家から一定距離で離れた場所に野宿する
- 自然に生えている木の実、きのこや植物を摘む
- 海や湖での水泳やボートの使用
- 竿や糸で魚を釣る(地域によって釣りに制限があるので、要確認)
- 凍結した湖、川、海で、散歩、スキー、スノーモビール の運転をする
禁じられている事とは?
- 近隣に住む住民への迷惑行為やその土地を破壊する事
- 木を切る、傷つける
- 私有地にある倒木や苔を拾って集める
- 無許可で焚き火をする
- 民家のすぐ近くで野宿をしたり、騒音を出したりする事
- ごみを放置する事
- 道のない場所で車などの乗り物を運転し、自然を傷つける事
- 鳥やその巣を傷つけたりする事
- トナカイを含む動物を脅かす行為
- 無許可で狩りをする事
- 無許可で網や仕掛け、リールやルアーで漁をする事
- 犬を子供の遊び場、スキー場、公共のビーチ、国立公園で自由に走らせる事
- 大人数でのイベントなどを開催する事
常識を持って、土地の所有者とその自然に敬意を払っている限り、フィンランドが提供する美しい自然すべてを自由に探索することができるんですね♪
ですが、上記記載の「可能な事」は、国立公園やその他の自然保護区では、絶滅危惧種の動植物を保護するために、特定の季節や通年で制限されたり禁止されたりすることがあります。規制がある場合は、しっかりと守って、十分ご注意くださいね!