北欧フィンランドの妖精、トントゥ(tonttu)とは?

北欧には古くから伝わる妖精がいるってご存知でしょうか?各国での呼び名は「ニッセ」や「トムテ」など、少し違ってきますが、フィンランドではトントゥ(Tonttu)と呼ばれていて、古代より家々に住み着く守神的な存在として敬われていました。

どんな見た目?

見た目は白い髭をはやした小人のお爺さんで、農家さんの服を着て三角の帽子をかぶっています。七人の小人みたいな感じですね。上はチュニックにベルトをつけ、下は膝下までのズボンにストッキングを履いています。服装が17世紀の北欧の人々のものに似ている事から、トントゥの存在はその辺りの時代から信じられてきたのだろうと言われています。身長は60cm〜90cmと思ったより大きいかな?といった感じ。

トントゥの性質
礼儀や伝統を重んじる

元々は農家のお家に住み着く妖精で、大切に扱われると、小さな雑用を知らない間に済ませてくれていたり、その農家の家畜と収穫物の繁栄の手助けや、お家を邪気から守ったりしてくれるようです。トントゥを「大切に扱う」とは、伝統的なお供物を怠らず、真面目に働き、お家とその土地や、家畜達を大切に扱う事。

中々の短気!

トントゥはあの可愛らしい見た目に反して、実は結構、短気!なので、汚い言葉を使ったり、不真面目な行動や、トントゥを雑に扱うとすぐに復讐が!小さなイタズラとして、引っ叩かれたりから、なんと本気で怒らせてしまうと、農家の家畜を殺してしまったりも、、あの小さな体ですが、驚くほどのパワーを持った妖精なんです。結構震える程怖い一面もあるんですよね(笑)

フィンランドには色んなトントゥがいる!
ヨウルトントゥ(joulutonttu)

トントゥはクリスマスシーズンには必要不可欠の存在でもあります。ヨウルトントゥはサンタの小さなお手伝いさんとも言われていて、サンタさんから受け取ったプレゼントを国中の子供達に届ける役目を担っているのです。

プレゼントを受け取ったお礼としてと、トントゥもクリスマスイヴにご馳走が食べれるように、好物であるバターの乗ったお粥を食卓の上に一緒に並べます。このお礼を忘れてしまうと、トントゥはイタズラをしたり、そのお家を去ってしまうことも。

よく言い伝えられているお話では、あるトントゥがクリスマスイヴに、毎年用意されているお粥を見つけて食べようとしました。しかし、お粥の上に乗せてあるはずのバターが見当たりません。その事でトントゥは激しく腹を立て、家畜小屋で休んでいた牛を一頭殺してしまったのです、、その後、やはりお腹が空いたのでそのお粥を食べた所、最後の方でお粥の底にバターがあることに気が付きました。実は農夫はお粥の上ではなく、底にバターを入れてしまっていたのです。そこでトントゥは自分の行動を悔み、悲しみに暮れ、同じ牛を飼っている別の農夫を見つけて、バレないようすり替えたのです。こんなお話がある程、トントゥは気が短いみたいですね〜!怒りっぽいトントゥも面白い特徴の一つとして、よく児童書などでも描かれています。

フィンランドでは、北部にあるラップランド地方とロシアの境にある、コルバトゥントゥリ(Korvatunturi)という山がサンタクロースの秘密のプレゼント工場と言われていて、ここでヨウルトントゥもサンタさんのお手伝いをしていると信じられています。

この山は耳の形をしている事から、その形状のおかげでサンタさんはこの山で子供達のお願いを事を聞けているのではないか?と言われているそう。

クリスマスとトントゥは深く関係している事から、フィンランドではクリスマシシーズンにはトントゥのオーナメント がよく飾られます♪

Kikkori村のヨウルトントゥ

サウナトントゥ

フィンランドといえばサウナ発祥の地!日常でもよく使用するフィンランド人にとって、サウナは神聖な場所です。そんなサウナの、ストーブと壁の間の小さなスペースに、サウナトントゥは住んでいると信じられてます。

本来、サウナトントゥは慈悲深くて、心優しいと言われていますが、一方で命の危険があるほどの攻撃性もあります。彼らの役目は、人間がサウナを大切に扱い、敬意を持って使用するのを見守る事。サウナでは教会と同じように、騒いだり、悪態をついたりしないように振る舞わなければならないのです。

サウナでの飲食、排尿やおならも禁止!サウナでは、猫背になったり、家にいるみたいにくつろいだりせず、敬意をもって入ります。出入りの際は、サウナトントゥへの挨拶も忘れないこと♪トントゥが怒って一晩中ブツブツ言わないように、サウナのドアもきちんと閉めましょう。

サウナトントゥは良い扱いを受ければ、サウナの機能と清潔さを保ち、サウナを訪れる人々に幸福と安全を与え、サウナが火事になるのを防いでくれます。一方、サウナトントゥを怒らせると、災害、病気、事故、死など、さまざまな災を呼びかねませんので、ご注意を!

クリスマスイヴにはたくさんのサウナ内でトントゥのオーナメント が飾られています。そしてトントゥへの感謝のしるしとして、サウナの外にジンジャークッキーやパン、ビールなどを置いておくのが伝統です。

トントゥがサウナに入る十分な時間があるよう、クリスマスイヴは朝早めにサウナに入るのがルール。最後に、クリスマスディナーの前にサウナでくつろいだ後、サウナトントゥのためにバケツに水を入れておくのが礼儀です。

ムールトントゥ(myllytonttu)

ムールトントゥの主な仕事は、製粉所の世話をし、製粉業者を手伝うこと。ムールトントゥは、水車と風車の両方に住んでいると信じられていました。製粉所の妖精は、石臼が火花を散らして火事を起こさないように、眠っている製粉所の人たちを起こしたり、お祭りの前夜には、ムールトントゥにお供物をするのも伝統です。雑な扱いを受けると、ムールトントゥは工場全体を止めてしまうのだとか。

その他にも、日常生活する中で、色々な所にトントゥは住んでいると言われています。
干し草の中や馬小屋に住むトントゥ、森を守るトントゥや、家の中だったらキッチンなど各部屋に住むトントゥなど!フィンランドにはトントゥという愛らしい妖精の存在を信じる事で、あらゆる所で物や、場所を大切にし、敬う文化があるのですね♫

tonttu
森の中でピクニック中のトントゥのお爺さんとお婆さん